ポータブル電源には、「本体を充電しながらデバイスへ出力」できる機能を持ったものもあります。大きく分けると、パススルー方式とUPS方式に区別できます。
パススルー方式
パススルー方式は、充電しながら放電を行う方式です。パススルー充電に対応していないポータブル電源の場合、充電をしていると放電(接続デバイスの充電)ができません。パススルー充電に対応しているポータブル電源であれば、例えばソーラーパネルでポータブル電源本体へ充電を行いながら、USB接続したスマートフォンへ充電する、といった使い方できます。
ただし使用の際には下記の点を留意しましょう。
- ポータブル電源本体へ充電しながらデバイスへ電源供給できる。
- デバイスの充電時間が長くなる場合がある
- ポータブル電源本体の負荷がかかり温度上昇する場合がある(ファンが回りっぱなしになる)
- 充放電を短いサイクルで行うため電池寿命が短くなる可能性がある
UPS機能付きポータブル電源
UPSとはUninterruptible Power Supply:無停電電源装置の略語で、停電した際にサーバーやデスクトップパソコン、レジスター、自動ドア、防犯カメラなど停電中も一時的に電力が必要な機器に接続するための非常用バッテリーです。
ポータブル電源も非常用電源として利用できるので、UPSとしても使えるのではないか、と考えますが基本的には本格的なUPSとしての機能が無いものが多く、パススルー方式で接続しておけば停電時に一時的に電源共有できますが、「長期運用」を考えるとデメリットもあります。
UPSには下記の3つ方式があります。
常時商用電源給電方式
通常時はACコンセントからの電力をそのままパソコンやレジスターなどに供給し、ACコンセントからの電源供給が絶たれた場合に、バッテリーからインバーターで直流を交流に変換してAC出力されます。瞬断が発生します。シンプルな構造のため、小さく安く作ることができます。
常時インバータ給電方式
常時商用電源供給方式とは逆に、常にインバータを経由して、バッテリーに充電を行いながら、安定した出力をデバイスに供給するUPSの方式です。常に調整された電力を供給でき、停電時の切り替えも瞬断なく行えるため、医療器具や高精度の機器への電力供給に向いています。価格が非常に高いという特徴があります。
ラインインタラクティブ方式
通常時はACコンセントからの力をトランスを経由してデバイスに供給します。停電時や一定以上の電圧変動を検知するとバッテリー給電に切り替えます。常時商用電源給電方式同様にシンプルで低コストですが、トランスを使った電圧調整機能があり切り替えも 常時商用電源給電方式 より早い製品が多いです。
UPS給電方式比較表
項目 | 常時商用電源 | ラインインタラクティブ | 常時インバーター |
---|---|---|---|
瞬断 | あり | あり | なし |
電圧 | 不安定 | 比較的安定 | 安定 |
価格 | 安価 | 安価 | 高価 |
出力 | 切り替え後は矩形波が多い | 正弦波 | 正弦波 |
主なデバイス | PC/周辺機器 | サーバー/周辺機器 | サーバー/医療機器 |
サーバーやクライアントPCとの連動ソフト
UPS製品とポータブル電源の大きな違いに、「管理ソフト」の有無があります。通常UPS製品にはサーバーやパソコンと連携する管理ソフトが付属し(有料/無料がある)、停電が発生しバッテリー給電に切り替わると、サーバーやパソコンにシャットダウン信号を出して自動的にシャットダウンされる管理ソフトでコントロールします。
UPS製品の多くはまだ「鉛蓄電池」を使用しているため、停電時に長時間サーバーやパソコンを運用できないためです。
大容量ポータブル電源の場合、シャットダウン信号を出すような製品はほとんどありませんが、UPSに比べて運用できる時間が長いため、数時間程度の停電の間はシャットダウンせずに運用することが可能です。